裂き織り工房 加藤 本文へジャンプ
佐渡の裂き織り



 佐渡の裂き織りは、昔、海や山で働く人たちの仕事着として工夫されたのがルーツとされています。
 
 「ネマリバタ」という織り機で、木綿布や絹布を細く裂いたものを横糸に使い、一段ごとに杼(ヒ=叩いて目を詰めるための棒)でトントンと打ち込んで織るため、しっかりとした織布(おりふ)ができます。
 この織布で、着る物やこたつ掛け、敷物など、生活用品を作りました。
  
 裂き織りは、横糸が太いのでほつれやすい弱点があり、織布そのものをハサミ等で切ることはタブーでした。
 そのため、欲しい物の寸法に合わせて、幅になる縦糸をたてました。長さも、織り終えたら仕切り糸を入れてほつれないようにしました。
 
 当時、布は貴重なものでした。使っているうちに色あせたり汚れたりしたら、ほどいて元の織布に戻し、裏返したり別のものに作り変えたりしました。何度も何度も、繰り返し、ボロボロになるまで使用したのでした。
 古い布を再生させるのも、裂き織りの重要な役割でした。物を大切にする昔の人たちの、賢い知恵と言えるでしょう。
 
 この伝統的技術は今に受け継がれ、現代の生活に生かされて、素朴で温かい作品が生まれています。
 
 昔の織り機やハンテン、ドンザと呼ばれる着物等は、文化庁の有形文化財に指定されており、今も相川町に保存展示されています。